先日遠征した千葉県にある荒木根ダムで、初めて新星景写真の撮影に挑戦しました。
もともとは風景なしの星野写真の作品にしようと思っていたのですが、さそり座が山から顔を出して昇ってくる景色があまりにも印象的で、このエモさを表現したい!と思い星景写真にすることにしました。
と、ここで問題が。
この遠征の直前に赤道儀を2軸化したのですが、このスタイルではカメラはL型ブラケットで直接パノラマ雲台に固定されるので、地上に対して水平を出すことができません。
そして、もともと星景を撮る予定はなかったので自由雲台を持ってきていませんでした。
そこで考えた苦肉の策が、
『大胆クロッピング』
今回は特別にこの写真の裏側をお見せしましょう。
デデン!
完全にD810Aの画素数とSigma 40mm Artの解像力におんぶに抱っこ、力技です。
地味にSigma 40mm Artでの初作品ですが、このレンズのシャープさには脱帽するばかりです。
そしてこれだけクロッピングしたおかげで輝星が拡大され、まるでソフトフィルターがかかったような効果を得ることができました。
撮影時の裏話はこのへんにして、次は画像処理についてです。
まず、新星景写真では必須となる星野部と前景部の境界処理ですが、これはPhotoshopの自動選択ツールで前景部をだいたいで選択して、選択とマスクで微調整するだけで上手くいきました。
この手のテクニックには疎いのですが、一応コツとしては前景部をRAW現像する際に、地上部と星空部に大きな輝度差をつけておくことです。多くの場合は星空部のほうが明るいと思うのでハイライトや白レベルを+に振っておけばいい感じになると思います。
あとは地上部と星空部を合成する際におおよその輝度とコントラストの調子を揃えることでしょうか。
輝度を大きく変更する階調処理は合成してから行うことで境界部で違和感のない仕上がりにできたかと思います。
さて、境界部に違和感があるとその写真における妥当性を一気に損ねてしまいます。そもそも違和感を生じやすい新星景写真においてそれは致命的だと考えています。
妥当性というのは、星野写真含めた自然風景を対象とした写真において僕は最重要事項だと思っていて、レタッチをする際に一番の基準としています。
妥当性を損なわない新星景写真を実現するためにはどうすればいいか、実は数年前からずっと考えていました。
その殆どが星野部の処理についてなのですが、純粋な星野写真とは異なる、新星景写真に合った星野表現を目指しました。
ということで、今回の写真は初めての新星景ではありますが、実は数年間の考察が詰まっています。
今回は突発的な撮影でしたが、思った以上に作品づくりが楽しかったので今後も機会があればチャレンジして、表現手法を洗練させていきたいと思います。
目指すのは普段星野写真メインで撮ってるからこそ表現できる新星景写真の世界でしょうか。
それと、前景部のレタッチも磨かないといけないですね。もっと明確なイメージを持って処理を進められるようにしたいです。